カエルの歌

 かつて全国各地で見られたトノサマガエルが34都道府県で消え、逆に東京では、これまで観測されなかったシオカラトンボが観測された。全国47の管区・地方気象台が環境の変化を見守るために気象台周辺で続けている生物季節観測で、戦後約50年の自然の変化が浮かび上がった。
観測は、季節の遅れ進みや、環境の変化を推定するため、53年から始まった。気象台や側候所周辺で、ヒバリやツバメの初鳴き、トノサマガエルの初見日や桜の開花日など23項目を職員が目と耳で調べている。
ところが、環境の変化によって観測できない動物が増えてきた。管区・地方気象台でみると、昨年、トノサマガエルが観測されたのは宇都宮や京都など、わずか10の気象台だけだった。
これまで一度も観測されていない札幌、東京、横浜をのぞくと、34府県で消えたことになる。
ホタルが観測されたのは秋田や名古屋など28の気象台。一度も観測されていない東京、横浜、静岡、大阪を除くと、15県で消えた。
群馬昆虫の森(仮称)建設室の係長は「トノサマガエルは川の環境が変わり、草むらなどが減ったからではないか。ホタルのさなぎは、川から上がった時に軟らかい地面が必要だが、コンクリート張りで土手がなくなったのが影響している」とみる。
初鳴きが聞かれなくなった鳥で目立つのがヒバリ。昨年、観測されたのは32府県。13府県で聞かれなくなった。モズは11府県で消えた
日本野鳥の会研究センターによると、全国のヒバリの分布調査では、この20年でヒバリがいる地域は半分に減った。研究員は「ヒバリが生息する畑や草地が減っている」と話した。
植物では、タンポポが青森、大分、熊本など5県で消えた。在来タンポポを観測対象としているためで、外来種が取って代わった可能性が高い。
生物季節観測の改定などで助言をしてきた進化生物学研究所のの元東大農学部教授は「コンクリートが増えると石灰で土壌がアルカリ性になり、酸性に適した在来タンポポが減っているのではないか」と指摘する。

生物季節観測(主な都市)の推移
気象台 ホタル トノサマガエル ヒバリ
札 幌 × × × ×
青 森 × ×
秋 田 ×
盛 岡 ×
仙 台 ×
山 形 × × ×
福 島 × ×
宇都宮 × ×
水 戸
前 橋 × ×
熊 谷 × × ×
甲 府 × × ×
銚 子
東 京 × × × × × ×
横 浜 × × × × ×
静 岡 × × × ×
新 潟 ×
長 野 ×
富 山 × ×
金 沢 ×
福 井 ×
岐 阜 × ×
名古屋 ×
×
彦 根
京 都
奈 良 ×
大 阪 × × × ×
神 戸 × × ×
和歌山 × ×
岡 山 ×
広 島 × ×
鳥 取
松 江
下 関 ×
松 山 ×
高 松 × ×
高 知
徳 島 × ×
福 岡 × ×
佐 賀 ×
大 分 ×
長 崎 × ×
熊 本 ×
鹿児島 ×
宮 崎 ×
那 覇 × × ×
<表の見方>ホタル、トノサマガエルは初見日があったかどうか。ヒバリは初鳴きが観測されたかどうか。左は過去の状況で、○は毎年のように観測された、△は観測される年もあった、×は観測されたことがない。右は昨年の状況
以上、2001.5.14.朝日新聞(夕刊)より抜粋

 以上のデータはあくまでも気象台周辺と言うことなので、その県にいないということではないと思います。私自身、トノサマガエルを昨年岐阜で、今年徳島で目撃しています。兵庫県でホタルも見てますし。どれほど真剣に観測しているか?も不明です。(批判している訳ではないです)
 しかし、確かにトノサマガエルはいなくなっています、あとトノサマバッタも、両方20年程前はよく採っていましたがさみしいです。全ての生物に共通することですが、人間の土地開発で、棲む(繁殖する)場所が無くなってきているのは確かです。

2001/05/15 Kazu


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